柴野貞夫時事問題研究会 本文へジャンプ



韓国・チャミョヨンデ(参与連帯)  インターネット新聞(8月14日付)

 

 

イ・ミョンパク(李明博)候補は、トゴクトン(道谷洞)の土地借名疑惑を透明にして、明らかにしなければならない。

 

国務総理、長官候補だったら、人事聴聞会も通過できないことだ

検察は、ハンナラ党・イ・ミョンパク候補の検証捜査を 徹底して進めねばならない

 

全国の市民社会団体は、2007年大統領選挙(以下、大選)の重要性を勘案し共同行動を準備している。市民社会団体の関心事は、何よりも、今回の大選の過程で、韓国社会の発展方向に関した、豊富な討論と国民的合意を作り出すことである。これと共に、国民が参与(参加)する中で国政を委ねる大統領候補の資質と道徳性、リーダーシップなどに対し充分な検証と評価を進めることが、やはり非常に重要な課題だとみている。ここに、最近、最も大きな懸案だと言われるハンナラ党大選候補の疑惑究明に対する立場を開陳しよう。

 

検察は、昨日(8月13日)、ハンナラ党、イ・ミョンパク候補のトゴクトン(道谷洞)の土地借名(訳注・他人名義に偽装すること)の疑惑に対する中間捜査結果を発表して、トゴクトンの土地の中で、イ候補の長兄、イ・サンウン氏が所有する土地は、第三者の借名所有である事と判断されるが、可処分資金のながれは、材料不備と関連者らの非協力で判断が出来なかったと明らかにした。

イ・ミョンパク候補は競選(党内選挙)過程で自身に対して提議されている、あらゆる疑惑を、明々白々に明らかにすると言っておいて、結局、自ら進んで解明することも無く、検察捜査にも協力することもなかった。むしろ、捜査結果の発表直後、検察に押しかけ、検事総長の辞退を主張するなど、これを政治的弾圧として追求している。ずっと小さい事案でも、過去国務総理、長官候補たちが、ぞろぞろと落馬したのを、国民は記憶している。いわんや、大韓民国の5年を左右する大統領を選出する過程で、曖昧に残すことは出来ない。

イ・ミョンパク候補は、自身が真に潔癖だと言うなら口先だけ抑鬱だ。信じてくれと言って、することではなく、自身と関連される各種疑惑に対し具体的な材料と根拠をもって解明に向かわなければならないのだ。

 

ハンナラ党は、諸政党のなかで最も先に競選過程に突入するのに、党内候補らに提議される疑惑を、すっきり解明することを約束して、検証委員会の構成、候補討論会、検証聴聞会開催などを推進することだ。このように、前に何かするようにしたら、この候補の、トゴクトン土地可処分資金の捜査の鍵を握る、キムマンジェ、前浦項製鉄会長に検察捜査に応じないことを指示したことは、大体どんな意図であるのか?国民を、案山子扱いして、我田引水 トカゲの尻尾きり式に候補検証をするという事なのか?

イ・ミョンパク候補は、トコクトンの土地を初めとして、多数の可処分資金の良し悪し、BBKの株価操作疑惑など、まだ解明されない疑惑を、いろいろ持っている。特に、予定通りキム・キョンジュン氏が帰国すればBBKと関連した疑惑は、また新たに膨れ上がることが、火を見るように明らかだ。目を隠して競選のときまで状況謀免(悪い状況を免れること)をして見るという心算(心ずもり)であれば、これは大きな誤算だ。

 

国民は、この間イ・ミョンパク候補に提議された各種疑惑が、この候補自身や党内検証過程と言論報道、検察捜査を通して充分に解明されていないと言う点を、明らかに理解している。

特に主要言論がこの事案に対し、こんなに寛大である理由は何であるか、理解するのが難しい。大統領を選出する過程は、検証と評価、論難の過程だ。言論は、国民に代わって、候補評価と検証のために正確な情報を伝達する義務をもっている。言論が、候補検証過程で検証と究明を避けて、特定の候補を露骨的に支持するような印象を与えることは、不適切だ。

 

もう一度強調するが、イ・ミョンパク候補は、自身に提議されている疑惑が政治的弾圧であり、謀略だと言い張りながら、いい加減に過ごそうとすることは,駄目だということだ。大統領候補として立ちながら、この程度の検証と評価を覚悟しなかったと言うなら、候補者の資格も無い。避ければ避けるほど、疑惑は少しずつ増幅されて国民の信頼は遠のいていく。 (訳 柴野貞夫)

 

 

解説

 

8月20日、12月の大統領選挙迎えて、韓国最大野党、ハンナラ党の党内大統領候補選挙が行われた。結果、イ・ミョンパク(李明博)前ソウル市長がパク・クネ(朴槿恵)を僅差で破り、次期大統領の有力候補となった。各種世論調査では、50~60パーセントの支持を集め与党圏候補を今のところ大きく引き離している。軍事独裁に対する市民運動から生まれた、金大中、盧武鉉の10年間は、韓国労働者階級にとっては、よりましな政権であったが、6月抗争で民衆と敵対した軍事独裁の理念を色濃く引き継ぐハンナラ政権の展望は、民衆の利害をより危険に曝すに違いない。韓米同盟をより重視し、自らを“韓国株式会社の最高CEO”(党内選挙での演説)と称するイ・ミョンパクは、”怠け者の労働者を容認してきたノ・ムヒョンが韓国経済の停滞を生みだした“と言った意味のことを、どこかで主張していた。民主労働党に対し、「70~80年代にぶらぶらしていた連中が恩恵ばかり主張する」と言って、民主化闘争を揶揄したこともある。現代財閥の会長だった男が、国家を株式会社に喩える意味は、国家が国民の生存と幸福を守るためにあると言う建前を、かなぐり捨てて、搾取の対象とする事を宣言したようなものだ。

今回のイ候補の、不正資金、土地疑惑問題は、韓国に限らず、権力を狙う資本家階級とその代弁人達の抜きがたい本質に根ざしていると言うべきであろう。

汎与党圏は、ヨルリンウリ党を中心として民主新党に結集したが、民主労総と民主労働党からの、労働者の諸権利蹂躙政策批判に答えなければ働く民衆の支持も得られないであろう。